
今アメリカでも日本でもニュースをにぎわせているのが、トランス脂肪酸です。
アメリカのFDAが2018年6月までにアメリカの食品から食品添加物を全廃すると発表しました。
FDAは、「心臓病のリスクを減らし、年間数千件の命に関わる心臓発作を防ぐことができる」とみています。
アメリカの食品業界では、各社が早急な対応を取らざるを得ないとニューヨークタイムズでも大々的に報道されていますね。
しかし、日本ではトランス脂肪酸を全廃する動きはありません・・。とはいえ、アメリカで禁止のものが日本の食品では使われ続けるというのも怖い気がするのでトランス脂肪酸のリスクなどまとめてみました。
この記事の目次
そもそもトランス脂肪酸って何のこと?
脂肪酸とは、油脂(あぶら)を構成する分子の総称です。脂肪酸は、人間の体を作る重要なエネルギー源です。
トランス脂肪酸は、脂肪酸の一種で、トランスとは化学結合の方法の名称です。高校の化学とかで習った方もいると思います。
トランス脂肪酸には牛肉や羊肉などに元から含まれている天然由来のものと、マーガリンやショートニングに含まれる人口のものがあります。
当然ですが、マーガリンやショートニングを含む加工食品にも、トランス脂肪酸が含まれることになります。
トランス脂肪酸を含む加工食品の例
- マーガリン、ショートニング、ファットスプレッド
- インスタントヌードル
- フライドポテト
- キャノーラ油
トランス脂肪酸を完全に摂取しない生活を送ることはほぼ不可能ですし、その必要もありません。
牛肉に含まれる脂肪酸の3-9%はトランス脂肪酸ですが、このような天然由来の脂肪酸は日常の食生活の範囲では、人体に悪い影響を及ぼさないことが多数の論文で報告されています。
http://authoritynutrition.com/why-trans-fats-are-bad/
ただし一方で、加工食品に含まれるトランス脂肪酸(天然由来でないもの)はこの限りではありません。
トランス脂肪酸の健康上のリスクについて次でまとめます。
トランス脂肪酸の健康上のリスクは?
上述したようにトランス脂肪酸は牛肉などにも含まれる脂肪酸なので、少量の摂取で健康にリスクをもたらすものではありません。
ただし、多量に摂取した場合には、血液中の悪玉コレステロールを増やし、善玉コレステロールを減少させることが報告されています。
心臓病や動脈硬化などのリスクが報告されています。
トランス脂肪酸の多量摂取がもたらすとされる健康被害
- 心臓病(心筋梗塞、狭心症)
- 動脈硬化
- 糖尿病
- 肥満の増加
- 子宮内膜症
- ぜんそく、アレルギー、アトピー
非常に多くの健康被害の原因となっていることがわかると思います。。繰り返しですが、FDAは今回のトランス脂肪酸を全廃する規制によって、
「心臓病のリスクを減らし、年間数千件の命に関わる心臓発作を防ぐことができる」とみています。
アメリカのサイトでは何と言われている?
アメリカのウェブサイトを検索するとトランス脂肪酸に関する情報がたくさん得られます。一部をご紹介します。
トランス脂肪酸は多くの医師から最悪の脂肪酸だと捉えられています。善玉コレステロールの数値も悪玉コレステロールの数値も上昇するとされています。
” Trans fat is considered by many doctors to be the worst type of fat you can eat. Unlike other dietary fats, trans fat — also called trans-fatty acids — both raises your LDL (“bad”) cholesterol and lowers your HDL (“good”) cholesterol.”
http://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/high-blood-cholesterol/in-depth/trans-fat/art-20046114
トランス脂肪酸と糖尿病の関係性は完全に明確ではない。8万人以上の女性への研究の結果、トランス脂肪酸を多く摂取した対象者は糖尿病のリスクが40%上昇した。
“The relationship between trans fats and diabetes risk is not completely clear.A large study of over 80,000 women found that those who consumed the most trans fats had a 40% higher risk of diabetes.”
http://authoritynutrition.com/why-trans-fats-are-bad/
なんでアメリカと日本でトランス脂肪酸の対応が違う?
アメリカが2018年にトランス脂肪酸の使用を全廃する一方で、日本の対応はというと実は各食品メーカーにトランス脂肪酸の使用量を明示することすら義務付けられていません。
現状では、一部の食品メーカーが自主的に公表しているだけです。
国によってトランス脂肪酸への対応がここまで異なるのは、食生活に関連するトランス脂肪酸の摂取量の差が原因です。
アメリカ人のトランス脂肪酸の摂取量は、2003年時に1日あたり4.6gありました。様々な規制により、2012年には1.3gまで落としています。2018年にはこれが限りなくゼロに近づきます。
一方で、日本は、加工食品を食べる量がアメリカよりも元々少ないので、国民平均でいくと0.9gとなっています。これは、WHOの基準値内に収まる量ですが、当然誰しもが同じような食生活を送っているわけでは無いですし、このブログの読者さんの半分くらいはアメリカ在住者でしょうから、注意が必要です。
まとめ、商品をしっかり読もう
加工食品を頼った食生活を続けている方は、商品の裏の成分を読んで、トランス脂肪酸がどれだけ含まれているかを確認しても良いかもしれません。
“hydrogenated” や “partially hydrogenated”と書かれた食品にはトランス脂肪酸が含まれています。