スポットライト

『スポットライト 世紀のスクープ (Spotlight)』 という映画をこの前見ました。

スポットライト

ボストンの日刊紙”ボストングローブ”が実際に取材することになったカトリック司祭の子どもへの性的虐待事件と協会の隠蔽体質をテーマにした実話の再現映画で、アカデミー賞の作品賞と脚本賞も受賞した名作だそうです。

社会派の映画なので、笑いどころは特にありませんが、曲がりなりにもアメリカ駐在を経験している者として、とても興味深かったので、ご紹介します。

どこが興味深いかというと、この映画に出てくる新聞社が典型的なアメリカの組織を体現していからです。

物語のキーとなるゲーガン裁判という過去の事件を再調査せよと命令する本社から来た新しい上司に対して、一度は反対する支社の責任者。

彼としては、教会との関係を良好に保つためにも再調査はするべきでないとの考えを上司にしっかりと伝えます。

しかし、上司の答えは、「とにかく再調査してくれ」というもので、彼の意見は受け入れられませんでした。

ここで、日本の映画だと、もっと部下と上司の対立が描かれたりするものですが、アメリカは違います。

「わかりました」と言って、意識を完全に切り替えて徹底した再調査を始めるんです。

なんかこの辺のストーリーの持っていき方が、極めて国民性を反映しているな~と思うんです。

邦画だったら、もっとそこをほじくるのに・・・。部下と上司の戦いが起きるのに・・。

アメリカでは、やはりトップの決定は絶対なんです。

上司と部下がバチバチやり合うなんてシーンを入れてもストーリーがブレるだけなんだろうなぁ。

自分の意見はきちんと主張するが、一度判断が下されれば、スピーディーに実行するのみ。

この辺の、”アメリカ人の仕事への割り切り”が私には結構心地よいんです。

以前に日本の著名なコンサルファームの方とお話しする機会がありましたが、彼が言っていたことでとても印象的だったのが、

「日本の会社は全然トップダウンじゃないですよ。上が何言ったって、下の人が命令を軽くスルーすることが平気である。でも、そんなことはアメリカの会社では絶対起きない」

というお話。

なるほどー、これは確かに真だと思いますね。

アメリカ企業のカルチャーと日本企業のカルチャーを両方体感できる分、アメリカ駐在員はお得ですよね。

少し話題が逸れましたが、これからアメリカに駐在する方や、既にアメリカに住み始めている方にもオススメの映画です。